後半20分、トニーニョ・セレーゾがビスマルクに交代を告げ、ビスマルクは静かに
国立のピッチを去った。思わず名審判、レスリー・モットラムが歩み寄り、握手を求
めた。美しいシーンだった。
替わって勢いよくピッチに駆け込んできたのは、16番本山雅志だった。
本山は鹿島のジョーカーとして多くの相手を震え上がらせてきたが、背番号の置き所がな
かったのだろう。この交代で、ジーコ、ビスマルク、本山雅志が鹿島の10番として確立した。
このシーンは、いつまでも忘れられないサッカーの美しいシーンだ。
国立だったと思う。どの試合だったか思い出せないが、本山が出た以上、結果は勝利したに決まっている。
小笠原がイタリアにいる間、本山は、本当に頑張った。
僕は、実は本山が内蔵の病気を抱えながらプレーしていることを知らず、途中交代してしまうのにがっかりして、本山のことを、「あれで鹿島の10番が務まるのか。」という趣旨の投稿を、この掲示板に当時のハンドルネームで行ったことがあった。あとで病気のことを知ってひどく後悔した。
そのことを、今、本山雅志選手にお詫びしたい。
アントラーズは、本山のおかげでタイトル数が彼の番号に追いつき、
現在では20冠となった。本山、ありがとう。本山の猫背気味の背中に背負ったものを、
今の若い選手たちは知ることができるだろうか。本山、お疲れさま。