鹿島がJリーグでやってきた実績は揺るがない。
高い技術と強い結束、プレーにおける勝利への献身
苦しいときには全員が90分を起承転結に刻んで共時的に攻め、守り、
結果を導く。監督の采配が選手交代を通じてタクトを刻む。
レアルをリスペクトしたから、このつもりで入ったと思う。
レアルも、前回の経験から侮れないと知り、一応この定石に従って相手
の分析と自らのコンディション回復を待った。
両者とも同じリズムではあったが、強度が違った。パススピード、コント
ロール、判断、緩急、個々のレベルがやはり未体験のレベル。大波が小波
を飲んだ。向こうの波はこちらの波を飲み込むほど強かった。
われわれもそれを知った。この試合、二点目のミスは痛かった。
そしてリーベル。まず、番号が見えにくい。誰が誰だかわからない。俊敏
でポジションチェンジが激しい。技術も高く球際も強い。相手を把握する間
もなくゲームが進行し、GKが負傷交代。失点がかさむ。鹿島が、転、結へと
シフトチェンジしようとした時、相手は満を持し10番を投入。
起承転結は力が拮抗するかそれ未満の相手を従わせる場合には有効だがこの
レベルでは・・。
まず、レベルを上げる必要を痛感。Jリーグのようにはいかなかった。
あのパススピードを可能とする基礎条件を身につけなければならない。
パスサッカーへの転換を言っているのではない。
阿吽の呼吸をゴールへのベクトルにできるメンバーを揃えねばならない。
世界クラブの頂点を決める場に立つことを射程に置いて毎日を過ごせるクラ
ブが日本の鹿島にある、という現実を不断に作り出すことが、アントラーズ
の次の4半世紀の使命である。
欧州移籍が目標などと国の代表たるものが踊らされているリーグに浸かるの
ではなく、鹿島にいればあの場に立てる、つまり鹿島が最強のサッカーを実
践し勝取る当事者になる可能性が最も高い、そういうクラブになって欲しい。